【実録】親の家の片付け。負の連鎖を断ち切る方法。
こんにちは。餅味噌教授です。
介護問題。
これは実際に直面してみなければ分からない問題だと思います。
私のお義父さんの介護は、お義母さんがやっています。
私も、直接的に介護をしているわけではありませんので、その大変さは正直分かりません。
しかし、側で見ているものとしては、心を痛めることもあります。
介護される側のイライラと介護する側のイライラ。
この負の連鎖は、何としても止めたいと思うのです。
少しでも過ごしやすい環境を作ること。
それが、介護を周りで支えるものの勤めなのかもしれません。
私たちの考える過ごしやすい環境。
それは最小限で過ごすこと。
私たちが親の家を片付けた実録をご紹介していきたいと思います。
押し付けないミニマム生活のすゝめ
時に人は、「良い」と思ったことは、他人に強力に勧めることがあります。
しかし、「良い」というのは、自分の主観であって、他人にとっては「良い」にならないこともあるのです。
ですから、親であっても「良い」の押し売りは、お勧めできません。
親にとっての「良い」を見つけて、それに協力するということが大事です。
今回の目的は、親の生活を快適にしてもらうことで、イライラを軽減してもらおうということです。
STEP.1 親にとっての「良い」を探す
STEP.2 その「良い」を実現する手伝いをする
まず、親にとっての「良い」を探すことから始まります。
これが一番大変な作業です。
もちろん、ただ、「どんな生活がしたい?」と言ったところで、「このままでいい」という結論に導かれることは当然です。
基本的に人間は変わりたくない生き物です。
ここからは、実際のやり取りをご紹介します。
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「どんな生活がしたい?」
「このままでいい」
「そうじゃなくて、理想の暮らしってない?」
「あるよ。庭のある小さな家で、朝、空を見ながらコーヒーをゆっくり飲んで、すっきり暮らすの。出来ないけどね。」
「え、なんでそれやらないの?」
「今は、出来ないじゃない。お父さんのこともあるし。」
「出来る事ってないのかな。庭は無理だけど、すっきり暮らす事とか。このタンス、書類しか入ってないから、このタンス自体を減らしたら、ちょっとすっきりするんじゃない?」
「いや、このタンスは便利なのよ。」
「この食器棚は、引き出しばっかり多くて、場所とってるんじゃない?というか、こんなに食器使う?」
「いや、使うのよ。この食器棚も高いやつだったのよ。」
「変えたくないんだったらいいけど、もし、ちょっとでも理想の暮らしをしたいんだったら、肉体労働は手伝うからね。」
「いや、変えたいのよ…」
「判断は、全部自分でしてね。片付けは自分でやらないと意味ないから。」
「実は、台所が狭くて、ちょっと広くしたいと思ってるのよ。」
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一つ捨て始めると、作業はどんどん進みます。
お義母さんは、食器を買うのが好きな人。
しかし、一つ捨てると決めた途端、結局、半分の食器を処分することになりました。
そうすると、棚もいらなくなりました。
どんどん、部屋が広くなります。
今度は下駄箱が気になります。
靴がそんなに必要ありませんから。
下駄箱自体も処分することに。
下駄箱の裏のカビが恐ろしいことになっています。
物を捨て、掃除をするのは私たちの仕事。大変、というよりも、気持ちがよく、高揚感があります。片付けは祭りだと誰かが言っていましたが、その通りです。
私たちは、何日も通い、物を捨て、掃除をします。
決めるのは、全部、お義母さんです。
食料品の賞味期限切れがどんどん出てきます。
どんどん捨てます。
「これ、高いやつじゃないの?」と、こちらが心配しても、「いや、捨てる」という意志の固さ。
素晴らしいの一言です。
とうとう、お義母さんが自分で把握できるほどの物の量になりました。
「すっきりした!」
その通りだと思います。
お義母さん主導で片付けた部屋は、お義母さんの理想の部屋に限りなく近づきました。
理想の部屋に近づいたその後。
この話の結末は、二人がイライラせず、幸せに暮らしました…となるのが、物語としては理想ですが、なかなかそうもいきませんね。
しかし、変わったところがあります。
それは、お義母さんの心境の変化と、負担の変化。
介護をする側のお義母さんの負担は計り知れません。
しかし、動線が広くなり、物がどこにあるかを把握出来ているため、動きに無駄がなくなりました。また、それに伴うイライラも軽減されたようです。
そして、何より、朝に空を見ながらコーヒーを飲む時間が至福だ、と話してくれました。
そんな時間を夫婦二人で過ごすことも出来たそうです。
少しずつ理想へ変化しているのかなぁ。
夫婦はぶつかることもあります。そうやって、夫婦になっていくと私は思っています。
見るからに、お義母さん夫婦の関係性は変わってきています。
前は、お義父さんの言いなりだったお義母さん。
今は、がっつり言い返していたりします。
そして、お義母さんはいろんな人に「私の部屋見てよ。あなたも物を捨てたら?」と言っています。
妻は、「あんなに拒否してたのに、いい気なもんだよね」と笑って言います。
私は、そんな光景を見て思うのです。
「ああ、片付けをして良かったなぁ。」
と。