カツカレー最期の一切れ。食べ物の恨みは恐ろしい…

こんにちは。mochiです。

孤独のグルメseason7を見ていたらカツの話。キセキのカツ、美味しそう…と思っていたら、思い出した出来事があった。忘れもしない。それは私が小学6年生の頃の話。

ある日、私のおじいちゃんが入院した。幼すぎたのか、ことの重大性を私は、あまり分かっていなかった(後から聞いたら痔の手術だったらしいが)。

急に慌しく旅行バッグに荷物が詰められる。何だか特別なことが起ころうとしているのか。ぼんやりした私は少し興奮しながら、父と母のせわしない姿を目で追う。

急に、明日札幌に行く、と告げられた。選抜メンバーは、おばあちゃん、母、私の3人だ。

今まで、何をするにも兄と一緒だった私は、何だか少し大人になった気分で、嬉しかった。私は、選ばれたのだ。

次の朝、電車へと乗り込んだ。3人の中で男は私だけだ。しっかりせねば。などと少し気負いながらも電車の旅を楽しんだ。

おばあちゃんが「あれ、パンティー忘れた」と言った。母が不機嫌そうに「パンティーじゃなくて、パンツでしょ」と訂正を促す。おばあちゃんは「パンティーは買えばいいか」と大真面目に言う。すかさず母はまた不機嫌そうに「パンティーじゃなくて、パンツでしょ」と訂正を求める。パンティーの響きは、少しハレンチらしい…。

お昼頃に電車は、札幌へと到着した。お昼ご飯の話になった。時間がないためか私たちは、遠い親戚の人の家にお邪魔してお昼を食べることになった。母の対応を見ていると、そんなに深い知り合いでもなさそうだ。そして、何故か、その遠い親戚の人は私たちを家に入れると、どこかへいなくなってしまった。場所だけをわざわざ貸してくれたようだった。

近くにコンビニがあり、そこへお昼を買いに行く。何でも選んでいい、というのだ。当時の私は、コンビニのお弁当をあまり食べたことがなかった。その機会がなかったのだ。ジャンクなものをあまり食べることを推奨されない家庭だったので、これはチャンスとばかりにお弁当コーナーを物色した。

私が選んだのはカツカレー。即決だった。カツカレーは最強だ。なんてったってカツとカレーだ。どうやってカツカレーと向き合うか、どういうふうに食べるか、そのことで頭がいっぱいだった。

遠い親戚の家に戻る。すぐにカツカレーの蓋を開ける。カレーの匂いが部屋に充満する。母の顔が少し曇った。

そんなことはお構い無しにカツカレーを食す私。まずは、カツの左端から。うーん、うまい!カレーを絡めてご飯を食べる。次は、カツの右端だ。私は、美味しい物は最後に食べる主義だ。カツカレーのスターは、真ん中。センターに座るカツだ。TOKIOでいえば長瀬だ。次に食べるのは左から2番目。TOKIOでいえば、国分くんだな。うーん、さすが良い味だしてる。好感度抜群だ。カツカレーというライブは、クライマックスに向かって盛り上がっていく。次は松岡か。ちょっとキザっぽくて、いけ好かない部分もあるけど、まあ良いだろう。うん、美味い。意外に松岡の存在も重要だったのか、と実感する瞬間だ。もう、カツカレーなのかTOKIOなのか分からない感じになってきた。いよいよ終盤、ご飯配分もバッチリだ。いいペース。さあ最後の一切れ…と思ったところで、

あ、あれ?カレーの容器がない…

「もう十分でしょ」と母にカツカレーの蓋を閉められ、取り上げられてしまったのだ。少し前から、カレーの蓋をしたくてどうしようもない感じは気づいてはいたが、まさかとりあげるとは…

これ以上他人の家にカレーの匂いがつくのを恐れたのか、ジャンクなものを食べる姿が気に入らなかったのか、出発の時間がきてしまったのか…

まだ長瀬が中に…いや、カツが中に…

黙って従う私。

無残にも最後の楽しみは捨てられてしまったのだ。最後の曲は何だったのか…アンコールは何の曲だったのか…きっとオンリーユーだったのだろう。キーミがー(君がー)…と、観客と一体になったのだろうか…楽しかろうなー…いや、美味しかろーなー…

数十年経った今になっても思い出す出来事。食べ物の恨みたるや、根強いものです。カツは端が美味しいという人もいますが、私は真ん中が好き。こんな出来事があっても、最後にカツの真ん中を食べるスタンスは変えないで生きていこうと思っているのです。